研究課題/領域番号 |
07660122
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
百瀬 春生 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30219993)
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研究分担者 |
田口 精一 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (70216828)
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キーワード | 抗菌ペプチド / 実験室内進化 / ランダム突然変異 / インビボ・アッセイ系 / インビボ・スクリーニング系 / 機能マッピング / アピデシン / タナチン |
研究概要 |
本研究は、ミツバチ由来の抗菌ペプチドで、18アミノ酸残基からなる“アピデシン"(apidaecin)に着目し、これを動植物への病原菌の感染防止や食品保存に応用するためのモデル抗菌ペプチドと位置づけ、実験室内進化の手法を開発することを目的としている。前年度までに、アピデシン遺伝子に対してヒドロキシルアミンやPCRによる限定域ランダム突然変異と、in vivoアッセイ・スクリーニング系とを組み合わせた独自の方法(本来アピデシン感受性の大腸菌宿主ベクター系であえて変異アピデシンを発現させ、活性変異体を分離できる)を駆使し、多数の低活性変異体を得、アピデシン分子の機能マッピング、その他の解析を行った。本年度は、これらの実績をもとに次のような成果を得た。(1)実験室内進化で重要なプロセスであるランダム変異法を改良して、活性に必須と考えられるアミノ酸残基以外の残基をランダマイズするようアピデシン遺伝子を化学合成し、その結果、高活性型を含む多数の変異型アピデシンの取得が可能になった。今回の実験でも、従来見いだした通り塩基性アミノ酸残基の重要性が示唆された。(2)抗菌ペプチド全般に対する本実験室内進化系の有用性を確かめるため、カメムシ由来の抗菌ペプチド“タナチン"(thanatin)の解析を試みた。タナチンは、21アミノ酸残基からなる抗菌ペプチドで、グラム陰性・陽性細菌のみならず、真菌にも致死的に作用する。タナチンを大腸菌で誘導発現させることにより宿主菌に生育阻害が起こり、本システムが利用できることが示された。実際に本スクリーニング系を応用したところ、アピデシン同様、低活性タナチン変異体10種ほどの取得に成功した。これらの解析により、塩基性アミノ酸とシステイン残基がタナチンの活性に大きく関わることが示された。以上のことから本実験系が、アピデシンのみならず他の抗菌ペプチド研究にも汎用的に適用できることが明らかになった。
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