研究概要 |
まず、野性型キトサナーゼを用いて、その反応特性を調べてみた。25-35%アセチル化キトサンを基質として酵素反応を行い、加水分解生成物の構造を調べてみた。その結果、生成物の中には、(GlcN)_n(n=2,3)とともに、GlcN-GlcNAcやGlcN-GlcNAc-GlcNAcなどの、還元末端にGlcNAc、非還元末端にGlcNをもつヘテロオリゴ糖も含まれていることがわかった。すなわち、本酵素は、GlcN-ClcN間のグリコシド結合だけではなく、GlcNAc-GlcN間の結合をも加水分解していることがわかった。本酵素をGlcNのオリゴ糖と反応させ、その生成物の構造を調べてみた。生成物のアノマー型はα型であり、この酵素はアノマー反転の加水分解機構をもっていることがわかった。また、基質(GlcN)_6より、生成物は(GlcN)_3>>(GlcN)_2≒(GlcN)_4の順で生成され、endo型の様式で加水分解されていることがわかった。基質が(GlcN)_6から(GlcN)_5、(GlcN)_4へと重合度が小さくなるにつれて、加水分解速度は遅くなり、このことより、本酵素は少なくとも6個のサビサイトからなり、中央部分にその触媒部位が存在すると推定された。さらに、部位特異的変異導入によって触媒に必須な残基の検索も行なった。N末端領域に存在するGlu22とAsp40を特異的に変異させると著しい活性の低下がみられ、本酵素の触媒反応において、Glu22はプロトン供与体として働き、Asp40は水分子の求核性を高めることによって協奏的に触媒作用に関与していることが推定された。
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