Streptomyces sp.N174から得られたキトサナーゼ遺伝子を組み込んだStreptomyces lividans TK24によってキトサナーゼを大量に発現させ、S-Sepharose Fast FlowおよびBio Gel Aによるカラムクロマトグラフィによって本酵素を精製した。得られたキトサナーゼとグルコサミンオリゴ糖を反応させ、生成物のアノマー型を調べたところ、a型の生成物が得られ、本酵素は加水分解にともないアノマー型を反転させるということがわかった。グロコサミンのヘキサマーを基質として反応させてみると、生成物の濃度分布はトリマ->>ダイマー>テトラマ-の順であり、ペンタマ-からは等モル濃度のダイマーとトリマ-が、テトラマ-からはダイマーが生成された。基質の重合度が高くなるにつれて、分解の初速度は増大し、本酵素は少なくとも6個のサブサイトを持っていると思われた。 本酵素の触媒活性発現のために重要な役割をはたしているアミノ酸残基を同定するために、いくつかの酸性アミノ酸残基に部位特異的変異導入を行い、活性の変動を調べてみた。その結果、Glu22とAsp40の変異体においていちじるしい活性の低下がみられ(0.2-0.7%)、これら二つのアミノ酸残基が触媒残基であると推定できた。また、Asp37の変異体においてもかなりの活性の低下がみられ(30-50%)、熱安定性もかなり低下した。本酵素のX線結晶構造において、Asp37はHis90と近接しており、これらの残基間で相互作用を行うことによってタンパク質構造を安定化しているものと考えられた。
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