研究概要 |
1)緑膿菌アルカリプロテアーゼ(PAと略)の部位特異的変異 プラスミドpAPE1(PA構造遺伝子aprAをpUC18に挿入)の変異相当部分を含むKpn1-Pst1フラグメント(1.3Kb)をM13mp18に挿入、一本鎖DNAを調製した。次いで、Kunkel法により、Zn結合部位(H176→L),触媒部位(E177→Q),Ca結合部位(D356→A、D365→A)の部位特異的変異を行なった。DNAシーケンシングにより確認。 2)大腸菌でのPA分泌に及ぼす部位特異的変異の影響 PAの分泌に必要な遺伝子群(aprD/E/F)の構築をPCR法を用いて試みたが、失敗した。そこで、仏CNRSのDr. Murgierに要請し、下記2種類のプラスミドの譲与をうけた。 pJUEK72(8.8Kb) ; aprD/E/F/A(PA分泌可) pAGS7(7.0Kb) ; aprD/E/F(分泌系のみ、従ってPA分泌不可) 上記部位特異的変異の分泌に及ぼす影響を調べる為に、pAGS7+変異PA遺伝子を用いてE. coliC-600又はJM109の形質転換を行なった。PA分泌はスキムミルク含有LB寒天培地に菌を接種し、菌周辺部の透明環の有無により判定した。その結果、コントロールとして使用したpJUEK72或いはpAGS7+pAPE1により形質転換した菌株では透明環の生成を認めたが、変異遺伝子によるそれらには見られなかった。培養上清のPAGE及びWestern blottingを行ない、活性部位の変異によりPA(50KDa)より稍分子量の大きい生成物を認めたが、Ca結合部位のそれでは分子量の小さい加水分解物の生成を認めた。現在、それらの同定を急いでいる。
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