研究概要 |
申請者らは合成基質(Suc-Ala-Ala-Ala-NphNo_2)を用い微生物培養液に新規なプロテアーゼを探索した結果、Streptomyces griseoloalbusと同定した放線菌に該基質を分解する酵素を発見した。培養上清よりプロテアーゼの精製を試み、硫安沈殿後、各種クロマト操作により酵素を得ることに成功した(比活性の上昇93倍、収率10.3%)。精製酵素を用い酵素の諸性質を明らかにし、分子量26,000、等電点6.4、作用最適pH9.0、安定pH8〜11、作用最適温度45℃、温度安定性40℃まで、等の性質を持つ。阻害剤感受性について調べ、本酵素がDFPあるいはPMSFによって阻害を受けるセリンプロテアーゼグループに属する酵素であるが、既知の微生物セリンプロテアーゼ特異的阻害剤SSIあるいはMAPI、エラスタチナ-ル、TLCK、TPCK、アンチパインによってまったく阻害されないというユニークな特徴を持った新規酵素であることを明らかにし、本酵素を生産菌の発見場所に因み「マシキノシン」と命名した。ついで、酸化インシュリンB鎖および還元アルキル化リゾチームを用いて、マシキノシンの基質特異性を詳細に調べた結果、本酵素がアラニンおよびバリン残基のカルボキシル基側ペプチド結合を特異的に水解するユニークな新規酵素であると結論した。
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