研究課題/領域番号 |
07660130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
降旗 一夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20219091)
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研究分担者 |
吉村 悦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10130303)
大久保 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20111479)
山崎 素直 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011982)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | Decoupled-HMBC (D-HMBC) / 3D-HMBC / TANGO-HMBC |
研究概要 |
新選択的二次元NMR法の開発と天然有機化合物の構造研究への応用 本研究の目的は、複雑な有機化合物の構造研究に対して最も重要視されているHMBC法を中心としたNMR手法の問題点を明らかにし、新しいNMR測定法を研究開発することにある。それにともない、NMR装置のハードウエアの改良、ソフトウエアの改良、更には新しい高感度NMR測定法の開発を行い、広く天然有機化学者が使用できる実験条件を確立することにある。 研究は計画どうりに進行し、予定した新しい測定法としてdecoupled-HMBC法,TANGO-HMBC法、及び3D-HMBC法の開発を行った。Decoupled-HMBC法、及び3D-HMBC法は、従来型HMBC法では観測しにくいブロードなシグナルやスピン結合定数の小さなシグナルからのクロスピークの観測を目的にして開発した。既にポリケタイド抗生物質ポートミシンや、複雑なマクロライド抗生物質モナゾマイシンに適用し、従来型HMBC法では観測しにくいシグナルから良好な結果を得ることが判明し、実用化への道を開くことができた。そして、更に新たな新規化合物にたいして研究中である。 TANGO-HMBC法は、天然有機化合物の生合成経路の解明の一つの方法として開発した。生合成の実験において^<13>C-^<13>C結合を有するラベル体を用いる標識実験がある。この方法のポイントは、その標識位置を^<13>C-NMRによって決定することであるが、^<13>C-^<12>C-^<13>CというH標識位置関係を有した場合は、従来の^<13>C-NMRによってはこの関係の証明は不可能であった。この問題を解決するための一つの方法としてTANGO-HMBC法を開発した。 既に、TANGO-HMBC法は、アゴノミン酸や、メナキノン化合物の生合成実験において、新しい生合成経路の解明に威力を発揮し、非常に有効であることが判明した。 本研究によって開発されたNMR測定技術、Decoupled-HMBC(D-HMBC)法、3D-HMBC法、TANGO-HMBC法は、現在の天然有機化合物の構造研究において、最も困難な問題を解決するために開発されたものであり、実用的に極めて利用価値がたかく、必ずや天然有機化合物の構造解析研究に大きく寄与するものと確信している。
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