研究概要 |
1.アルコール系香気前駆体の精製単離、構造決定:ジャスミン茶の製造に用いられているマツリカの花の香気前駆体の検索を進めた結果、新たに2-フェニルエチルアルコール、ベンジンアルコールの2糖配糖体を香気前駆体として単離同定した[Biosci.Biotech.Biochem.,59__〜(4),738(1995)]。またバラの花からも主要香気成分であるゲラニオールの2糖配糖体を単離同定した(口頭発表予定:日本農芸化学会1996年度大会:京都) 2.アルコール系香気生成に関わる変換酵素の精製:今年度購入した酵素生成用送液ポンプを利用することにより、マツリカの開花直後の花から調製したアセトンパウダーの可溶化、カラムクロマトグラフィー等による部分的精製の結果、香気生成に関わる酵素は、グルコシダーゼ活性を併せもつグリコシダーゼであること、本酵素は少なくとも3種類存在すること、これらの酵素は2糖配糖体を単糖単位で切り出すのではなく、アグリコンとのグリコシド結合のみを加水分解して香気成分へと変換することも明らかにできた[口頭発表:日本農芸化学会1995年度大会:札幌;Proceedings of 13th International Congress of Flavours,Fragrances and Essential Oils,vol.3,p.216(1995)]。しかしながら酵素活性が当初の予測以上に低いこと、材料を中国でしか入手できないということもあり、迅速に研究を進める上で、大量の試料が入手可能なクチナシ、バラでの検討にも着手した. 3.アルコール系香気生成に関わる変換酵素の蛍光基質の合成:蛍光基質としては4-メチルウンベリフェロンを選び、4-メチルウンベリフェロンプリメベロシド,ルチノシドの化学合成を検討した。脱保護時の分解,糖転移反応時の低収率といった課題が残されてはいるが、おおむね順調に推移している(未発表)。
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