糸状菌penicillium simplicissimum ATCC 90288株をオカラで培養すると生産される殺虫性インドールアルカロイドオカラミン類は特異な構造を有している。そこで興味の持たれる生合成経路を解明することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。 1)取り込み実験に有利と考えられる液体培養条件を検討したところ、ツアペック培地にオカラのメタノール抽出物を添加することにより本菌株が良好に生育し、しかもオカラミン類を生産することが明らかとなった。 2)確立した培養系にてL-トリプトファン-インドール-d_5を添加し、培養後得られたオカラミンBのMSスペクトルを解析することにより、オカラミン類のインドール部分がトリプトファンに由来することを確認した。 3)オカラに含まれるオカラミン生合成促進因子を明らかにするための検定系を確立した。すなわち、オカラのメタノール抽出物を添加したツアペック培地で本菌株を培養するとオカラミンAおよびBを生産し、その生産量は添加したメタノール抽出物の量と相関することを明らかにした。現在この系を用いて促進物質の精製を行っている。 4)本菌株のテルペン系代謝産物を精査し、新規トリテルペンを単離・構造決定した。 5)新規オカラミンGを本菌株から単離・構造決定した。 6)分離菌Aspergillus aculeatus KF-428株がオカラミンAおよびBを生産することを明らかにすると共に、新規オカラミン類縁体HおよびIを生産することを見出した。
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