寄生植物ヤセウツボの寄主であるアカクローバーを水耕栽培し植物約1トンに相当する水耕液を集め、これよりヤセウツボ発芽誘導物質を抽出精製した.まず、水耕液をXAD-4カラムに吸着させた後、メタノールで溶出を行った.ついで溶媒分画により、酢酸エチル中性区を得、これをセファデックスLH-20で精製した後、ODS-HPLCについでシリカゲル(アクアジル)HPLCで精製し、純粋ではないものの2種類の主要活性物質および1種類の副成分を得た.主要活性物質の1つをトリメチルシリル化後GC-MS分析したところ、本物質のトリメチルシリル誘導体およびそのGC-MS過程に生じた分解物のスペクトルが得られた.これらのスペクトルおよび保持時間はストリガの発芽誘導物質であるstrigolのものと似ていたが、明瞭な違いが認められた.一方strigolの異性体であるalectrolとはHPLC上の保持時間が文献上異なっていた.本物質はstrigolとHPLCの挙動が殆ど同じことおよびマススペクトルの解析により、新物質と思われ、その構造をstrigolの二重結合異性体と推論した.現在更に、純粋化に勉めており、さらなる機器分析によりその構造を決定する予定である.
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