研究概要 |
(1)生化学的に重要なアルカロイドであるサルソリノールとNメチルサルソリノールの光学異性体(R),(S)の分離法について検討した.β-サイクロデキストリンを移動相に使用することにより,高感度のイオンペア-高速液体クロマトグラフを用いた測定法を確立した.この方法によると0.1pmolまで測定が可能であった.バナナ・ワイン等の食品について測定した.さらに広範囲の食品について今後測定していくことが望まれる. (Jounal of Chromatography B 印刷中) (2)ヒト由来のドパミン系神経芽細胞腫SH-SY5T細胞を用いて薬物の細胞毒性定量法を開発した.96穴のマルチプレートにSH-SY5Y細胞(5x10^4細胞/ウエル)を添加し供試薬物と12時間培養した後,Alamar Blue色素を添加し,3時間後の色素の還元による吸光度の変化を測定することにより細胞毒性を求めた.この測定法によりカテコール核をもつイソキノリン類とカテコール核をもたないイソキノリン類について細胞毒性の強度を測定した.この結果,1,2(N)-Dimethyl-6,7-dihydroxyisoquinolinium ionの毒性が63.0μMと最も強かった. (Journal of Transmission 印刷中) (3)ドパンミンからできる1-methy1,6,7-dihydroxy-1,2,3,4,-tetrahydroisoquinoline(salsolinol)とその類似化合物をラットのstriatumにマイクロインジェクションすることによりドパミン神経細胞に対する選択的神経毒性について検討した.このうちN-methy1-(R)-salsolinolはパーキンソン症様の行動を示した. (Brain Research 709(1996)285-295)
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