研究はほぼ計画通り進行し、次のような成果を上げることができた。 1.ラクトフォリン(LP)は牛乳ホエーからプロテオースペプトンの硫安塩析およびゲルろ過による分別によって精製したLPをSDS-PAGEで分離後、PVDF膜に転写し、27kDaの主要ポリペプチドに相当するバンドを切り出し、プロテインシークエンサーでN-末端側アミノ酸配列を決定した。 2.N-末端側アミノ酸配列に基づいて、縮重の比較的少ない領域を選び、センス(5′側)プライマーを合成する。アンチセンス(3′側)プライマーとしてベクターに相補的なオリゴヌクレオチドを合成し、IZAPIIベクターにクローン化されたウシ乳腺cDNAライブラリーをテンプレートとしてPCRをい、pUC119ベクターにサブクローニングし、DNAシークエンサーで塩基配列を決定する。続いて、PCRによって増幅した産物のうち、塩基配列がLPのアミノ酸配列に相当するクローンをプローブにして、ウシ乳腺cDNAライブラリーからプラークハイブリダイゼーションによって、27kDaのLPポリペプチドのcDNAをクローニングし、全長624bpの塩基配列を決定することができた。 3.LPのcDNAの塩基配列から135アミノ酸残基からなることが演繹され、その分子量は15303であった。
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