研究概要 |
1,ヒトAlbutensin A (Ala-Phe-Lys-Ala-Trp-Ala-Val-Ala-Arg)はBombesinレセプターに対する親和性を示した(IC_<50>=133μM)。本ペプチドを絶食マウスに脳室内投与した場合には、10nmolでは摂食促進、30nmolでは摂食阻害活性を示した。Bombesinは本来摂食阻害活性を示すが、以上の結果から本ペプチドはBombesinのパ-シャルアゴニストであるために、低用量ではアンタゴニスト、高用量ではアゴニストとして作用したものと考えられる。一方、化学合成したdes-ArgヒトAlbutensin A-NH_2もBombesinレセプターに対する親和性(IC_<50>=100μM)を有しており、本ペプチドは絶食マウスに脳室内投与した場合には100nmolで摂食阻害作用を示したが摂食促進作用は示さないないことからBombesinアゴニストであると考えられる。Albutensin Aは補体C3aレセプターに対しても親和性を持っているが、C3aレセプターはAlbutensin Aによる摂食調節には関与しないことが判った。 2,ウシ血清アルブミンの一次構造に基づいて合成したフラグメントペプチドTyr-Leu-Ser-Leu-Ile-Leu-Asn-ArgはNeuropeptide Y_2レセプターに対する親和性を示した。本ペプチドをAlbutensin Bと命名した。Albutensin Bを絶食マウスに脳室内投与した場合には摂食抑制傾向が見られた。このことはAlbutensin BがNeuropeptide Yアゴニストであることを意味している。 3,以上のように異なった機構を介して摂食調節作用を持つ2種類のペプチドが血清アルブミンから派生することが判ったが、これらのペプチドが体内で派生し脳まで到達し実際に摂食調節作用を発揮しているかどうかについては不明である。
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