研究課題/領域番号 |
07660177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (20187230)
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研究分担者 |
野村 睦 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (20271629)
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (70125318)
藤原 滉一郎 山形大学, 農学部, 教授 (00001503)
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キーワード | 融雪期 / 化学組成 / 渓流水 / アシッド・ショック / 森林流域 / 森林機能 / 寒冷積雪地 / 中緯度地帯 |
研究概要 |
北海道大学天塩地方演習林の中の峰流域(蛇紋岩)、および宗谷岬のオテンナイ川流域(新第三紀堆積岩)に設定した試験流域において、融雪期(3月〜5月)の流量と水質の観測をおこなった。 今年度の春期融雪は両流域とも3月下旬より徐々に始まり、融雪最盛期は中の峰流域で4月22日〜5月4日、オテンナイ川流域で4月14日〜5月2日と流域積雪量の多い中の峰流域で融雪期間が長かった。また、融雪期の最大流量は中の峰流域で約111/s/ha、オテンナイ川流域で31/s/haであり、中の峰流域の流量がはるかに多かった。しかし、両流域の厳冬期渇水流量と比較すると、どちらの流域でも最大流量は渇水流量の10倍程度であり、流域地質による違いは認められなかった。 渇水期の渓流水pHは、中の峰流域で7.5、オテンナイ川流域で6.8とほぼ中性であり、電気伝導度(EC)は210〜220μS/cmとどちらもほぼ同様の電解質濃度を示した。一方、天塩地方演習林における2月下旬の積雪全層のpHは4.7と酸性であり、融雪開始時には融雪水中における急激なpH低下現象も認められた。しかし、融雪時の渓流水pHの最低値は中の峰流域で7.0、オテンナイ川流域で6.2と、渓流水量の増加にともないpHも低下する傾向を示すものの、水生生物に影響与えるアシッド・ショックの発生に至るようなpHの低下は認められなかった。 これに対し、両流域におけるECの変化には顕著な違いが認められ、融雪最盛期には中の峰流域の渓流水のECは渇水期の210μS/cmから70μS/cmまで低下したのに対し、オテンナイ川流域では融雪開始直後に160μS/cmまで低下したあと、ECはほぼ一定に経過した。さらに、融雪最盛期に流量が大きな日変動を示してもECはほとんど変動せず、流量増加にともなうイオン溶出に対する大きな緩衝能の存在が推定された。
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