研究課題/領域番号 |
07660177
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部附属演習林, 助教授 (20187230)
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研究分担者 |
野村 睦 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (20271629)
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部附属演習林, 教授 (70125318)
藤原 滉一郎 山形大学, 農学部, 教授 (00001503)
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キーワード | 融雪水 / 科学組成 / 渓流水 / アシッド・ショック / 森林流域 / 森林機能 / 寒冷積雪地 / 中緯度地帯 |
研究概要 |
北海道大学天塩地方演習林中の峰地区2流域(蛇紋岩)、および河西地区3流域(新第三紀堆積岩)に設定した試験流域において、昨年度に続き融雪期(3月〜5月)の流量と水質の観測をおこなった。また、酸性融雪の発生に対する森林の影響を検討するため、気象観測露場と森林内部に融雪ライシメーターを設置し、融雪水の化学性をモニターした。 1997年融雪期の渓流水pHは中の峰流域で7〜6の間で変動するものの、渓流水の日周変動が明瞭に認められたにもかかわらず、それに伴うpH変動は小さかった。ただし、電気伝導度(EC)には明瞭な日周変動が現れ、地表面付近を通過する融雪浸透水の渓流水質への影響が推定された。 新第三紀層の流域のうち、ヌポロマポロ層地帯の八線沢川では、蛇紋岩地帯流域ほどの大きな流量の日周変動は認められなかったが、渓流水pHやECは流量変動にともない周期的な変動をするのが認められた。ただし、渓流水pHは最低でも6を下回ることはなく、渓流水の酸性化は認められなかった。一方、ヌポロマポロ層により地質年代的に古い稚内層地帯の清川やヌカナン沢川の渓流水量の日周変動は、蛇紋岩地帯の渓流水の1/2以下と極めて小さく、かつ渓流水pHおよびECともに融雪出水期間中の変化はほとんど認められなかった。両流域の渓流水pHはヌカナン沢川で約6.2、清川で約5.7で、清川流域の渓流水で極めて低いpHが観測された。これは、酸性融雪水の発生によるpH低下というよりも、母岩が浅海性の堆積岩であること、およびSO_4^<2->濃度が他の渓流水に比較して高いことなどより考えると、母岩中に含まれる化石化した硫酸塩酸性堆積物の影響によるものと推察された。 また、積雪からの酸性融雪の発生に対する森林の影響を検討した結果、森林が乾性降下物を付着したり、枝や葉より塩基類を放出することにより融雪水の酸性度を弱めていることが明らかとなった。
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