研究課題/領域番号 |
07660180
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
成田 雅美 筑波大学, 農林学系, 助教授 (30164502)
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研究分担者 |
加藤 衛拡 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70177476)
砂坂 元幸 筑波大学, 農林学系, 講師 (80015669)
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キーワード | 大規模森林経営 / 山村地域の社会経済構造 / 林野の官民有区分 / 農民の入会林野利用 |
研究概要 |
本研究の目的は、わが国の大規模森林経営の成立・展開とその歴史的条件の解明をつうじて、森林の持続的な経営と管理をいかに実現するかという現代的な課題に接近することある。そのため、先発人工林地域三重県の山村地域と大規模森林経営を研究対象として、土地制度の近代化、山村地域の社会経済構造の変容過程との関連のもとに、その歴史実体を明らかにすることにある。 本年度は、三重県の明治初年における土地制度の変革、とくに山林原野の地租改正、林野の官民有区分の地域的特徴を明らかにするため、徳川林政史研究所、大阪営林局所蔵の閲覧調査を実施し、関連資料の写真撮影、複写、筆写をおこなった。また、大規模森林経営の調査については、当初予定していた飯高町堀内家に加えて、大宮町吉田家の史料調査も実施し、新たに貴重な史料を発掘することができた。現在、収集した史料の整理と分析の作業にあったっているが、さらに追加調査が必要である。 このうち本年度の史料分析は、明治初年における三重県の林野の官民有区分を中心とし、とりわけ官林経営の形成過程の検討に焦点を絞った。三重県を含む紀伊半島は、国有林野面積の非常に小さな地域であるが、その歴史的な要因と官林経営の形成過程をからめて検討した。その結果、近世における旧藩の農民的な林野利用にたいする規制の弱さに加えて、商品生産的な林野利用の広範な存在、さらに当時の三重県庁の官民有区分にたいする抵抗的な対応姿勢が明らかになった。プロイセンを範とする区画林伐方式による官林経営の形成は、旧来からの入会林野慣行を守ろうとする地元町村民の大きな抵抗に遭遇せざるをえなかった。その過程において三重県庁が示した内務省に対する抵抗的な姿勢態度が、この時期の特徴として注目される。
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