1.レーザ測距計によるディジタル樹木位置図作成手法の検討 東京大学千葉演習林ほか数カ所の林分内のプロットにおいて、レーザ測距計による位置図作成の検討を行った。その結果、現地作業は従来の手法によるものにくらべ時間的に数分の一で、また所要人員も最小限の2名のみで効率的に行えることがわかった。使用したレーザ測距計の仕様により、測定データを直接パソコンにダウンロードすることはできなかったが、データの処理も市販の表計算ソフト程度で十分であり、この方法が非常に有効であることが明らかになった。しかし、直径測定については精度の点で従来の輪尺の使用が好ましく、樹高については測定可能であるものの、熟練と体力が必要である。 2.GPSとレーザ測距計を用いたプロット位置の精密測定 原理的には、GPSによる測位点と林分内のプロットとを1本でも結ぶことができれば、プロット内の各樹木の絶対位置を特定することができる。しかし、レーザ測距計では方位角が用いられているので、磁北と真北の偏差、さらに使用している座標系のN軸と真北との収束角があらかじめわかっていないと、各樹木の座標値を計算することができない。そこで、あまり離れていない2点においてGPS測位とレーザ測位を行うことにより、これら2種類の角度を一度に求めることにした。つまり、この2点における座標値と方位角の位置関係を知ることにより、方位角とN軸のずれを知ることができるので、この値を用いれば各樹木の絶対位置を計算することができるようになる。また、この値は地理的に近ければ一定と考えられるので、林内ではなくプロットに近い上空の見通しのよい地点を選んで求めることが可能である。
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