1.サルのための森林保全と改良 10月と11月に千葉県富津市の国有林のスギ・ヒノキ人工林伐採跡地に、A.無手入れ区、B.6月に目的樹種を刈だす区、C.6月、10月に目的樹種を刈だす区を3処理、3回繰り返しで試験区を設定した。伐採1年度に芽生えたサルの嗜好種(ヤマグワ、ネムノキ、イヌビワ、ヤマザクラなど)はhaあたり5000本であり、手入れの仕方次第で野生動物の収容力の高い林が造成できることが予測された。 2.シカのための森林保全と改良 (1)8月末に、東京大学千葉演習林郷台作業所管内の広葉樹天然生林の伐採跡地にA.無手入れ区、B.広葉樹刈だし区、C.無手入れ・シカ防護柵設置区、D.広葉樹刈だし・シカ防護柵設置区を2回繰り返しで試験区を設定した。広葉樹の萌芽が少ないので、刈だしは未だ実行していない。11月末の調査では、シカ防護柵内ではアカガシ、ウラジロガシ、モチノキなどの萌芽が伸長成長をなしているが、柵外ではシカの採食によってほとんど伸びていないことが分かった。7月末に東京大学秩父習林大血川作業所管内のヒノキの若い造林地に、同様の試験区を設定した。9月末に植生調査をしたところ、柵外はムラサキシキブ、リョウブ、ススキなどに食痕が目立ったが、柵内ではシカによる採食の痕がなかった。 (2)12月中旬に、千葉県君津市にある東京大学千葉演習林札郷作業所管内の34年生の広葉樹天然生林(林床の相対照度4%)伐採して、若い萌芽林を造成のための試験区を造った。この試験区では森林の内外の環境条件(光、地温、気温、土壌水分量)をデータロガーを使って測定を行っている。
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