1.サルのための森林保全と改良 (1)10月に、前年度に設置した千葉県富津市の国有林のスギ・ヒノキ人工林伐採跡地の目的樹種を刈出す区の3区画において刈出しを行い、樹高を測定した。伐採2年後までに芽生えたサルの嗜好種(ヤマザクラ、エノキ、クスノキ、リュウキュウマメガキなど)はhaあたり2900本あり、樹高成長は1m/年も成長するものもあり、刈出しによって野生動物の収容力の高い林が造成できることが予測された。 2.シカのための森林保全と改良 (1)12月に、東京大学千葉演習林郷台作業所管内の広葉樹天然生林の伐採跡地にA.シカ防護柵設置区、B.シカ防護柵外区において、植生調査を行った。シカ防護柵内ではアカガシ、ウラジロガシ、モチノキなどの萌芽の伸長成長が著しい一方、柵外ではシカの採食によってほとんど伸びていなかった。(2)昨年度、千葉県君津市にある東京大学千葉演習林札郷作業所管内の34年生の広葉樹天然生林(林床の相対照度4%)を伐採して、若い萌芽林造成のためにシカ防護柵で囲んだ試験区を造った。1年後の柵内の植生はカラスザンショウ、アカメガシワ、ヌルデ、イイギリなどの先駆性樹種が多かった。柵内の被度、最大植物高、現存量はそれぞれ27.1±2.5%、50±4.6cm、143±23g/m^2、柵外はそれぞれ0.6±0.15%、11±1.6cm、7±2.5g/m^2で、大きな差があった。森林の内外の環境条件(日射量、地温、気温)をデータロガーを使って継続測定を行った。伐採後の裸地では地表温が8月では40℃を越える日が多く、日較差が20℃を越える日が多かったが、林内の地表温は最高で33℃で日較差は9℃以下であった。
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