研究課題/領域番号 |
07660192
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
林 拙郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50024584)
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研究分担者 |
野々田 稔郎 三重県林業技術センター, 技師
川邉 洋 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80126036)
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キーワード | 根形分布 / 根返り / 幹折れ / 立木ヤング率 / 振動特性 / 根系強度 |
研究概要 |
最近の大規模な開発と同時に行われる自然性の回復のために、樹木による自然環境の早期復元が施されるようになってきた。しかしながら現在のところ、切り取り斜面の樹林化などの設計理論に必要な樹木の成立機構のモデル化や力学的な量の測定はほとんどなされておらず、道路法面などでは、走行車両の危険性から風害木の発生が危惧されている。本研究では、斜面上緑化樹木の最も危険と考えられる強風時の樹木の幹折れと根返りに関する根系強度特性や樹枝の耐風振動特性、たわみ特性などの基礎データを明らかにし、樹木の耐風強度や折損モデルに基づいた斜面緑化工の設計手法を考察しようとした。 本年度は、主に樹木の根系のついて調査を行い、各種樹木根系の強度試験を行った。大学構内および大学演習林などで採取した、スギ、ヒノキ、クヌギ、ヒメシャラ、トチノキ、ケヤキ、ホオノキ、クスノキの8種類の根系に対し、直径1mm〜6mm、長さ15cm程度に切りそろえた26〜114本の各樹種の根系について引張強度を測定した。その結果、根の破断部直径は抵断荷重のベキ乗式で表され、ベキ係数は1.54〜2.07の範囲をとり、ほぼ2乗としても問題の無いことが示された。各樹種間の根の最大強度を比較した結果では、根引強度も樹幹木質部の強度特性とほぼ似た傾向にあることが理解された。一方、立木の根株の強度については、既に多くの試験結果があり、玉手らの立木引き倒し試験や、鎌田の試験結果に筆者らのデータを合わせて整理し、樹木の安定性という視点から整理した。その結果、引き倒しの強度は立木の胸高直径のほぼ2乗で表せられることが、スギ、ナラ、ブナに対して示された。また、根返りに対しては、根返り抵抗モーメントが針葉樹の場合ほぼ胸高直径の3乗で表せられる。
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