ポリエステル繊維ランダムウェバ-を主な素材とする被覆資材への土壌・肥料、菌根菌および木本植物の組み込みの条件は、小面積および大面積施工、木本植物の種子の大きさ、施工地の地形・地質に大きく影響されることが明らかとなった。 春の成長開始前にマサ土を利用したモデル斜面に外生菌根菌としてナガエノコツブタケの胞子をアカマツの播種と同時に接種し、その上を被覆資材で覆い実験を開始した。秋の成長休止期における掘り取り調査の結果、アカマツ感染個体のバイオマス量は、地上部・地下部ともに非感染の個体より30〜100%程度大きな値を示した。また、設定した花崗岩の風化土壌であるマサ土は心土であり、外生菌根菌の初期侵入は困難と考えていたが、このようなところでも、本菌によるアカマツへの接種は効果的であった。アカマツの根系でナガエノコツブタケの胞子を接種しても初期感染を受けない場合は、時間が経過しても感染がみられず、アカマツの生育が改善されない。このような場合には生育途中で感染可能な他の外生菌根菌に注目する必要性が認められた。 また、被覆資材をモデル斜面および現地斜面に張り付けた場合、1時間最大降雨量150mm程度の降雨では、侵食はまったく認められず、被覆資材の土壌侵食防止効果は非常に高いことが明らかとなった。 さらに、被覆資材を土壌表面に張り付けることによって、土壌表面の温湿度の変化は少なくなり、また、土壌水分が増大傾向を示した。これらの結果は、生育基盤の基をなす土壌化を促進させるとともに、植生の生育にもプラスに作用したもとの考えられた。
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