ポリエステル繊維ランダムウェバ-を主な素材とする被覆資材への土壌・肥料および木本植物の組み込みの条件は、木本植物の種子の大きさおよび発芽率、施工地の地形・地質、施工地の面積の大小に大きく影響されることが明かとなったので、今後はそれぞれに対応した組み込み方法を具体的に検討しなければならない。菌根菌の組み込みとしては、播種の場合には土壌面のナガエノコツブタケの胞子を散布後、被覆資材で覆う方法が、苗木の場合には、根系にナガエノコツブタケの胞子をまぶして植栽後、苗木の周辺を被覆資材で覆う方法が作業能率が高く、しかも感染率も高くて簡便な方法であった。 被覆資材の土壌侵食防止効果は非常に高く、自然降雨ではまったく土砂流出は認められなかった。人工降雨を用いた実験でも時間降雨量150mmまでの降雨では土壌侵食が発生しなかった。また、被覆資材を張り付けることによって、裸地面に比べ、日中と夜間の土壌表面温度の差が少なくなり、土壌水分も高くなった。さらに、土壌化が裸地面に比べ、2〜3倍のスピードで急速に進行した。 アカマツ、クロマツ等の樹木の成長も被覆資材を張り付けることによって著しく促進された。モデル斜面および3地域の現地斜面共に、胸高直径および樹高への影響が大きかった。効果は気象および土壌条件に関係なく認められた。また、持続効果も確認された。さらに、火山性の荒廃地では亜硫酸ガスに対して、強い抵抗力を示し、亜硫酸ガスによる枯損率が著しく減少した。これらのことから、被覆資材は、侵食防止と樹木の成長に有効であり、森林再生のための画期的な材料であると考えられた。
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