研究課題/領域番号 |
07660199
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
玉泉 幸一郎 九州大学, 農学部, 助教授 (80205062)
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研究分担者 |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助手 (00231150)
斉藤 明 九州大学, 農学部, 教授 (30253511)
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キーワード | 希少種 / ヤクタネゴヨウ / 増殖 / 保全 / 更新 / 林分構造 |
研究概要 |
1.生態特性の解明 屋久島においてヤクタネゴヨウの分布と植生および林分構造について調査を実施した。 (1)分布:ヤクタネゴヨウは標高600m〜900mの範囲に分布した。これまでの報告では標高700mまでが分布域とされており、今回の調査でさらに高い標高まで分布できることが確認された。さらに、ヤクタネゴヨウの分布地はすべて尾根沿いの崩壊跡地であった。このことから、ヤクタネゴヨウは攪乱後のギャップに侵入する種であることが明らかにされた。 (2)植生:ヤクタネゴヨウを含む林分と含まない林分の種組成を比較した結果、ヤクタネゴヨウはスギ、ヒノキ、ツガおよびイヌマキなどの針葉樹と混成していること。また、亜高木や低木の中にもヤクシマシャクナゲやヤマモモなど特異的に出現する種のあることが明らかにされた。これらの種群は、屋久島では崩壊跡地に侵入して更新するタイプとされていることから、ヤクタネゴヨウも同様な更新様式を持つ種であると判断された。 (3)林分構造:ヤクタネゴヨウは高木層と亜高木層に多くが分布し、低木層や草本層での出現ははとんど認められなかった。このことから、ヤクタネゴヨウ林では後継樹は生育せず、遷移の進行に伴って衰退していく種であると判定された。 (4)種子散布:ヤクタネゴヨウの種子は翼を持っているが、翼のサイズが小さくしかも種子重量が重いために、種子散布は樹冠下のみに行われることが明らかにされた。 2.増殖技術の開発 成熟胚を外植体として増殖培地を検討したところ、DCR培地とWS培地が良好で、ホルモンはBAP単独(1ppmから2ppm)で良好な生育が確認された。
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