研究概要 |
南西諸島の海岸沿いにはモクマオウ、アダン、オオハマボウ、マングローブ等の熱帯、亜熱帯性の植物が生育しており、サンゴ礁と相まって南西諸島における独特な海岸風景を形成している。これらの植物は、また潮風害の防止をはじめ、飛砂防止、海岸沿線の浸食防止や海岸及び陸域の環境保全に大きな役割を果たす。そこで今回は、海岸植物等について現地調査および資料収集を実施した。例えば、樹葉への塩分付着量はモクマオウの場合5.920x10^<-2>mg/cm^2で、リュウキュウマツは4.750x10^<-2>mg/cm^2であり、モクマオウの方が幾分塩分を付着する量が多い。また、マングローブ林についての調査では、沖縄には7樹種の狭義のマングローブが分布し、主要な樹種はヤエヤマヒルギとオヒルギである。成立時期が相対的に新しい海岸ではヤエヤマヒルギが優勢で、陸側ではオオヒルギが優勢である。その中間においては混交林をなしていて、遷移の形が認められる。立木密度は、閉鎖を完了した若いヤエヤマヒルギ優勢林分(混交率99%)で11,100本/ha、中庸林分(混交率59%)で4,140本/ha、老齢のヒルギ優勢林分(混交率1%)で1,850本/haとなっている。 一方、植生の面からみた南西諸島の海岸は、岩礁域と海浜域に二大別することができる。岩礁植生地(糸満市大度)と海浜植生地(栗国村)に調査地を設定して、飛沫地帯あるいは潮間帯の無植生から草地植生、海岸林植生に移行していく状況をプラウン・ブランケの全推定法に基づいて、全出現種について優占度および群度を測定した。また、海岸防災林における樹木病害の発生実態を把握するため、リュウキュウマツ林、モクマオウ林、マングローブ林の三種の林分について病害調査を実施した。
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