平成7年度は当初の計画通り、釘面圧試験および解析プログラムの見直しを実施して、釘接合部の履歴特性解析方法の改良を行った。その内容は以下の通りである。 1)枠組壁工法用CN50釘およびCN75釘の材料線材の引張試験を行い、ヤング係数、降伏点、歪硬化率を測定した。 2)枠組壁工法用CN50釘およびCN75釘を用い、木材の繊維平行方向、繊維垂直方向、両方向の負荷に対する片振面圧試験を行い、構造用針葉樹材を対象とした釘面圧性能データを得た。 3)枠組壁工法用CN75釘を用い、上記と同様な方法で両振面圧試験を行い、釘接合部に正負繰り返し負荷が加えられる場合、どの様な面圧挙動を示すかについて実験的に検討した。この実験の解析結果から、2)の片振試験より得られたデータを、理適当な補正を加えることにより釘接合部の両振解析に適用できることを確認し、基礎データの整理を行った。 4)数段階、数回ずつの片振、両振繰り返し面圧試験を行って、繰り返しクリープおよび繰り返し応力緩和による面圧定数の変化に関する実験データを得た。 5)既に主要部分を作成済みの数値解析プログラムのうち、一方向の除荷から逆方向の負荷に至る過程の荷重-すべり挙動を、完全なスリップ型仮定から一定の傾きを持つという仮定に改良し、上記1)〜4)より得られた基礎定数を用いて解析を行ってみた。その結果、これまでの解析結果に比べて、特に繰り返し部分の曲線形状に改善が認められた。
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