研究概要 |
樹木資源の高度、有効利用法開発の一つとして、本年度の研究では樹木のフェノール性抽出成分のうち、フラボノイドを選び、その抗酸化能の利・活用に注目し、実験、検討、評価することにした。 まず、樹木起源のフラボノイド15種を供試し、過酸化物価とラジカル捕捉能の両面からテストし、抗酸化能の発現を検討した。そして、両測定結果をもとに、供試化合物の抗酸化能の強弱を比較するとともに、フラボノイドの基本群(フラボン、フラバノン、フラボノール、フラバノノール等の)並びにそれらの芳香環の酸素化パターンの差異と、抗酸化能発現の強弱との関係について構造相関的に考察した。この結果、強い抗酸化能をもつフラボノイドの構造が具体的にイメージできるようになった。 さらに、非常に急速なラジカル捕捉をみせ、その強弱の比較が困難であったフラボノイドについてはストップッドフロー法による検討を試行した。今回は、フラボノイド4種と、コーヒー酸や没食子酸メチルを加えた6種の化合物について、市販の1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルとの反応性の強弱を上記の方法によって追跡、測定し、反応速度定数を算出するまでの一連の実験方法を確立した。この結果、どのような成分のラジカル捕捉能も精密に比較可能となった。 以上のような研究結果から、次年度の研究計画である化合物の抗酸化能発現の反応機構解明を予定通りに行うことができると考えている。
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