研究概要 |
周刃フライス切削用の平刃(工具材質SKH51)に、粒径45μmの硬質ガラスビーズを用い、種々の照射条件でショットピーニング処理した。工具表面の硬度および切削による摩擦経過を調べ、ショットピーニング処理の適用の可能性を検討した。 1.刃先先端を除いたすくい平面へのショットピーニング処理による硬さ試験より、エア-圧2kgf/cm^2で長時間照射しても硬さはHV1150程度までしか上昇せず、エア-圧3kgf/cm^2で16秒間ショットピーニング処理すると表面近傍でHV1200以上の加工表面硬化が得られた。しかし、それ以上エア-圧および照射時間を増加させてもそれ以上の表面硬化は得られなかった。2.表面に近いほどショット粒からの熱エネルギーを受けやすく外気によって急冷されるため好条件での再熱処理が可能となる。そのため硬さ変化は、表面近傍でピークを示し、その後急速に減少し表面からの深さ6μmでHV950あとたりに収束した。結果から、エア-圧3Kgf/cm^2、照射時間16秒が処理を効率的に行う境界と考えられた。3.結果をもとに適性と考えられるエア-圧3,4,5 kgf/cm^<>、照射時間8.16秒で刃先先端を含むすくい面と逃げ面の両面にショットピーニング処理をした。照射条件にかかわらず、ショットピーニング処理により後退量5μm程度の刃先欠損が生じた。未処理刃の刃先後退量5μm以上での切削長に対する摩擦の進行速度とショットピーニング処理刃の摩擦の進行速度はほぼ同一であった。この条件では、ショットピーニング処理による耐摩擦性の期待される向上はなかった。4.エア-圧1.5kgf/cm^2、照射時間1秒で逃げ面側だけをショットピーニング処理した場合、処理による刃先欠損の後退量は2.5μmと減少し、刃先後退量6μmまでは摩擦進行速度が低下した。刃先先端から6μmまでの表層内部にのみショットピーニング処理による硬度上昇効果があり、耐摩擦性の硬度上昇効果があり、耐摩擦性の向上に有効なショットピーニング効果が伺い知れた。
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