建築物の外壁や外構材には藻類が発生することによって、緑色〜暗緑色に汚れるという現象がみられる。この汚染現象は、エクステリアなど屋外部材や住宅外壁材への木材および木質材料の利用の増大に伴い、無視できない問題となってきている。 木質系材料に生育し汚染する藻類を比較的短期間での再現実験によって特定するため、材料を北面に向けて並べ、間歇的に水分と栄養(NH_4)_2HPO_4をスプレーノズルで人為的に与える屋外暴露試験法を考案した。その結果、1ケ月ぐらいから徐々に藻類が発生しはじめ、4ケ月後には材料別の性能評価が可能なほどになった。試料の中央付近にはProtococcus viridisだけが、長時間保水することの多い下端部ではP. foverolatumなどが発生し、実際の外装材料における発生状況と同じであった。セメント系仕上げ材、砂岩、製材品や合板は塗装鋼板や仕上げ塗材に比べて藻類の発生時期がはやく発生程度も大きかった。また、レッドウッドなど耐久性のある樹種であっても藻類の発生が認められ、さらに焼きスギ、無機系防腐剤の加圧注入木材には防藻効果は認められなかった。 CCDカメラならびに顕微鏡によって藻類の材料への活着と生育状況を観察すると、表面の凹部など水分の付着しやすいところに藻類の生育が活発にみられた。 さらに、藻類の人工培養法の確立、生育に適する試料含水率と環境温湿度ならびに光照射条件の検討、および樹種、辺心材、表面仕上げ条件、材料タイプ(製材品、合板、各種の木質ボード)による藻類汚染の発生の違い、などを検討を開始した。
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