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1996 年度 実績報告書

スギ心材のアルカリ性化と黒変物質に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07660224
研究機関九州大学

研究代表者

小田 一幸  九州大学, 農学部, 助教授 (10045130)

キーワードスギ心材 / 赤心 / 黒心 / アルカリ性 / 灰分 / カリウムイオン
研究概要

スギ黒心には,その形成に関する要因の違いによって種々のタイプがある。この研究では,心材全体がほぼ一様に黒色となるタイプの黒心を対象に実験を行い,以下のような結果を得た。
1)赤心は弱酸性を,黒心は弱アルカリ性を示した。黒心がアルカリ性を示す理由として黒心には灰分(特にカリウム)が多いためと推測された。また,灰分量とカリウム量とも間には一次の相関関係が存在するが,回帰直線が原点を通らないので,灰分量が多いほど含まれるカリウム量の割合は増加した。
2)心材の明度は灰分(カリウム)量の影響を受け,心材のカリウム量がある限度を越えるとき,黒心が形成されると推測された。灰分量は品種によって異なり,さらに同一林分の品種内では胸高直径との間に正の相関関係が認められた。したがって,心材に取り込まれる灰分量は遺伝的な要因と肥大成長の良否に関係する環境要因ないしは立地条件によって決まると考えられた。
3)しかし,心材の灰分量は品種によって概ね決まっているので,遺伝的に灰分が少ない品種や逆に多い品種では,立地・環境要因は黒心形成の決定的要因にはならないと推測された。
4)湿潤な林分に高含水率材が多い傾向が認められ,環境要因との関連で黒心形成のしくみが明らかになりつつあるが,十分な解明には至らなかった。今後の緻密な実験計画のもとでの研究が期待される。黒心の発生を低減させるには,当面は黒心になりにくい品種を選択し造林するなどの対策が必要であろう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 森川 岳: "スギ心材の性質-ヤブフグリ心材の生材含水率,明度,灰分量,温水抽出物量-" 日本林学会九州支部研究論文集. 48. 195-196 (1995)

  • [文献書誌] 森川 岳: "スギ樹幹における黒心材形成と灰分(第2報)スギ3品種心材性質" 九州大学農学部演習林報告. 74. 41-49 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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