平成7年9-11月に函館と南茅部町の岩礁域において天然マコンブ成熟体を採取、遊走子を放出させ、これらを大型インキュベタ-(9℃一定水温)で培養、多数の幼胞子体を得て、以下の発生に関する実験を行った。水温は既往の発生学的研究報告と天然マコンブ生育地点で測定した変動幅より、通常水温を9℃、低水温を2.5℃、高水温を15、20、25℃と定めた。水温可変型インキュベータ-システム下で、9℃→高水温(1、3、6、12、18時間処理)→9℃、9℃→低水温(1、3、6、12、18時間処理)→9℃と設定、これら条件での幼胞子体生育状態を観察した。 高水温変動させたものでは、25℃、3-12時間で著しい影響が認められた。20細胞期以上の藻体に葉状部構成細胞に死滅するものがあり、縁辺部または先端部欠損、中央部穴あき等の症状となった。これらの現象は処理時間が長い程増加する傾向を示した。また、1-数細胞期の藻体についてはほとんど全てが死滅していた。1時間処理で、死滅個体はないがその後の発生において生長量の低いもの、奇形体となるものが見られた。15℃と20℃で葉状部に死滅細胞は認められないが、20℃では幾分生長が抑制された。15℃、1-18時間では形態、生長に9℃一定水温のものと同じ状態であった。低水温変動させたものでは、細胞の死滅等の強い影響はなく、その後の生長も正常であった。 コンブ類の幼胞子体について、形態並びに量的変化をできるだけ正確に把握する目的で、得た画像情報をピクセルに変換してパーソナルコンピュータ上での解析を試行している。適用可能性の高いことを確認したので、その解析方法を平成8年度当該研究へ計画通り用いる予定である。
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