北海道、南茅部町臼尻、尾札部に生育するコンブ科3種、スジメ、ガゴメ、マコンブの幼胞子体を用い、5、10、15、18、22、25℃の各々一定水温、1、2、3、6、12、24時間上記の水温で処理した変動水温が生長や形態に及ぼす影響について観察し得られた結果は、本年度申請備品、画像解析スキャナーシステムによってコンピュータに取り込み、解析と比較検討を行い、水温変動に対する各種の特性を明らかにしている。研究実績の概要は以下に記述する。 1.一定水温において、スジメは18℃以下の水温で69%以上、ガゴメとマコンブは15℃以下の水温で、86%以上の生存率を示した。 2.スジメ、ガゴメ、マコンブの3種とも10℃よりも低水温、高水温側で生長が緩やかであり、特に高水温側22℃で生長が劣る。葉の形態については、ガゴメとマコンブは高水温で幅広で丸形に、低水温で細長形になる。スジメは低水温で先端部が幾分幅広の細長型、高水温で線状を呈し、前2種とは異なる形態を示した。 3.変動水温処理実験では、25℃・24時間のスジメ、25℃・3時間〜6時間と22℃・6時間〜24時間のガゴメ、25℃・6時間〜12時間、22℃・12時間〜24時間、18℃・24時間のマコンブでは、著しい生長の停滞が見られた。 4.25℃・6時間〜12時間処理のガゴメ、25℃・6時間〜12時間、22℃・12時間〜24時間、18℃・24時間のマコンブのにおいて葉体の縁辺部が数カ所で著しくくびれる特異な形態の胞子体が出現した。今後、これらのシステムを用いて高水温による影響からコンブ類の幼胞子体が回復する経過を調査する予定である。
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