研究概要 |
1.固定化脱窒細菌Pseudomonas sp.Sc51株の脱窒活性は30°C付近,pH7〜8付近にて最大であり,50°Cにおいても最大値の60%程度,pH6あるいは9においても最大値の85%程度の活性が認められた。また,固定化Sc51株細胞は20〜30°Cで、pH7でもっとも安定であった。 2.現場底泥に脱窒細菌C8-2株を散布するための現場小型モデル系を設定した。底泥のみの場合とC8-2株付着担体を底泥に添加した場合の脱窒ポテンシャルを比較した結果,C8-2株の添加により脱窒ポテンシャルの増強がみられた。脱窒ポテンシャルはC8-2株10^5cells/mlのレベルの場合,泥コントロールの2倍に,10^7cells/mlのレベルの場合,泥コントロールの約3倍となった。 3.微生物散布による現場環境改善試験の詰果,有傲物分解量は冬季で26.4g/m^2/日,夏季で81.1g/m^2/日となり,底泥表層における脱窒による窒素除去量は冬季で30.7mgN/m^2/日,夏季で59.4mgN/m^2/日となり,微生物による環境改善効果が認められた。 4.脱窒細菌が周辺に生息する生物に及ぼす影響を検討するため,他種細菌・他種プランクトンとの共存条件下における挙動を調べた結果,Bacillus,Alteromonas,Gymnodinium mikimotoi,Skeletonema costatumおよびHeterosigma akashiwoなどは脱窒細菌の共存下ではほとんど影響を受けていないように思われた。また,脱窒細菌の変異原性についてはAmes試験陰性と判定さ 5.微弱光のもとで光合成能を有する微細藻類を酸素生産者として利用した。現場海水・底泥に微細藻類P-1株を添加した系では,藻類による酸素生産が底泥による酸素消費を上回った。現場海底を想定した微弱条件で,分離した微細藻類による酸素条件改善の可能性が示唆された。
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