研究概要 |
平成7年度には,淡水魚としてキンギョとサクラマス,海産魚としてはマダイを実験魚として用いた.いずれの魚種も自発摂餌の学習と摂餌リズムの発現に関して未知であるため,これらの点に主眼をおいた基礎研究を行ったところ,次のような結果が得られた. 1,自発摂餌装置を導入後,3魚種とも多数の個体が短期間で自発摂餌を学習した.学習時間の早い個体では装置の導入直後から活発な行動を示した. 2,いずれの魚種も,個体でも群でも自発摂餌が可能であった. 3,遊泳行動と自発摂餌行動の同時記録を行ったところ,明期活動型の個体は自発摂餌も明期に活発になる傾向がみられた.遊泳行動も摂餌行動も明瞭な日周リズムが観察された. 4,自発摂餌と制限給餌(時刻あるいは量)を用いて成長比較実験を行ったところ,いずれの魚種も自発摂餌で高成長が得られた.一日当たりの餌量を等量にした場合でも,自発摂餌方式を用いた方が成長率は高かった. 5,明期と暗期に制限給餌を行ったが成長に差は出なかった.この結果から,何時に摂餌するかという時刻要因よりも,個体毎の摂食・消化・吸収・代謝リズムに合わせて自発摂餌が可能であることの方が成長に大きく影響することが示唆された.
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