研究概要 |
Microcysticsの分類は形態学に全く依存しているが、アオコ発生現場から分離した株は培養するにつれて、群体の形態が崩れて来る場合が多い。また、自然界においても、群体形成前や崩壊後では識別が困難である。したがって、筆者は形態に依存しないMicrocystics属の分類を確立する目的で、本属の種に特異的なモノクローナル抗体の作製を試み、前回はM. aeruginosa f. aeruginosaに特異的に反応する抗体を得た。今回は、M. wesenbergiiを免疫源として本藻類に特異的な抗体の作製を試みた。今回は免疫のためにアジュバンドを藻体の懸濁液に加えた所、免疫の成立が以前より早くなることが明らかになった。したがって、本法を用いてモノクローナル抗体の作製を行った。その結果、M. wesenbergii以外の種(M. aeruginosa, M. ichthyoblabe, M. novacekii, M. viridis)には全く反応しないが、M. wesenbergiiの多くの株に反応する2種類の抗体を得ることができた。しかし、M. wesenbergiiの一部の株には反応しなかったので、その理由について検討しているところである。また、間接蛍光抗体法によりFITCを細胞表面に結合したM. wesenbergiiを蛍光顕微鏡やフローサイトメーターで解析した所、90%以上の細胞に顕著なFITCの蛍光を確認することができたので、良好な反応性をもつ抗体を作製することができたと考えている。
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