研究概要 |
1.昨年度精製法を確立した2種のナマズ血漿フィブロネクチン(JCpFN-Iおよび-II)の性質を検討したところ、JCpFN-Iは220kDaの2本鎖がジスルフィド結合したダイマーであり,JCpFN-IIは215kDaの1本鎖であった。JCpFN-Iおよび-IIのペプチドマップは,両者間および他種と明らかに異なっており,他種pFNに比べ両者共にHis含量が著しく高いのが特徴であった。JCpFN-Iはナマズおよびウナギ肝細胞の接着・伸展を促進した。しかし,サーモリシン処理後透析することにより,ウナギ肝細胞に対する促進作用は保持するが,ナマズ肝細胞に対する促進作用は消失した。この結果は,JCpFN-Iのナマズおよびウナギ肝細胞に対する結合部位が異なることを示唆するもであった。 2,昨年度,細胞結合ドメインの簡易同定法として,プロテアーゼ消化フラグメントをウエスタンブロットした膜上でウナギ肝細胞を培養し,フラグメントに接着した細胞を可視化する方法が有効であることを確認した。今年度はさらに細胞検出法を改良し,細胞骨格タンパク質に対する抗体を用いる酵素抗体染色によりさらに明確に検出できた。この方法により,サーモリシン処理コイType-I pFN(CpFN-I)の細胞結合性フラグメントは100,62,48,26,25および20,ナマズは46,43および37,オオクチバスは66,43,35および26,ティラピアは125,44,36および24kDaであった。 3,サーモリシン処理CpFN-I+IIの細胞結合性フラグメントをSuper dex 75カラムによるGPCおよびODSカラムによる逆相クロマトグラフィーにより分離し,CpFN-Iの細胞結合性サーモリシンフラグメントのうち,100,62および21kDaのフィラグメントが単離できることを確認した。
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