研究課題/領域番号 |
07660282
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
神田 健策 弘前大学, 農学部, 教授 (10113705)
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研究分担者 |
玉 真之介 弘前大学, 農学部, 助教授 (20183072)
渋谷 長生 弘前大学, 農学部, 助教授 (60216033)
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キーワード | 円高 / 経済空洞化 / 地域労働力市場 / 兼業農家 / 東北農村 / 企業誘致 / 工場海外移転 |
研究概要 |
本研究は、円高による工場の海外移転が(1)農村部でどの程度の深度をもって進行しつつあるか、(2)海外移転した場合に農村就業構造にどの様な影響を与えているのか、の2点を東北6県を対象とした町村へのアンケート調査と、具体的事例に対する実態調査により実証的に明らかにすることを課題とした。 東北6県の全町村に対して行ったアンケート調査により、1990年以降に約3割の自治体において進出企業・誘致企業の工場縮小・閉鎖があったこと、太平洋側よりも日本海側で多いこと、そのうちの約半分が円高の影響であること、業種としては電子関係、カセットテープ、電気部品などが多いこと、従業員の再就職に関しては、一部未決定が多いことなどが明らかとなった。同時に、企業進出も予想以上に継続していることも確認され、また担当者の見通しとしても、恒常的勤務先が今度減少するとする自治体は少なく、企業誘致のための施策も積極的に続けられていることがわかった。 また、円高を背景に1993年に宮城県の工場を大規模に整理統合し、3つの事業所を廃止したアルプス電気本社の調査と、宮城県桃生町の調査からは、中堅的企業でも海外生産が50%を越え、今後も国内生産の縮小が予定されていること、複数の下請け企業の倒産と連動していること、下請け企業の従業員の再就職が難しいことなどが明らかとなった。 来年度は以上を踏まえて、企業の撤退と進出の地域的特徴、撤退の地域経済、農家経済に与えた影響についてさらに詳しく分析し、報告書をまとめる。
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