研究概要 |
本研究全体の分析を進める準備として,産業組織論の分析枠組みについて総括的なレビューを行った.そこでは「伝統的な」産業組織論を中心にした理論的展開過程を追い,続いてそれに基づいた実証分析文献を検討しながら,分析のフレームワークを確定する作業を行った. イギリス・フランスに関する食品製造業の文献・資料を,検討した.フランスの食品製造業については工業統計表の原統計を入手したので,当初予定した以上にフランスの食品産業に関する統計を収集することができ,オリジナルな分析を行う基礎固めができた.現在わが国食品産業と詳細に比較するための統計定義の検討に着手したところで,統計ベースを構築する前準備を行った.また食肉加工業に限れば,わが国の食肉工業と比較しうるだけの英仏の資料が揃えられている. 現在調査としては,食肉加工業企業や農協経済連を訪問し,操業現場の見学,経営者・操業担当者へのインタビューを行った.食肉加工産業においては,最近の輸入制度の改正や円高の進行によって産業内の企業構造や取引関係が大きく変わりつつあることが明らかになった 国内の食品産業の検討も現在のところ食肉加工業だけに限定されているが,統計資料の分析と実態調査は当初計画どおり遂行されている.必ずしも統計上はまだ観察されていない牛肉自由化以降の食肉経済の推移ならびにその中での食肉加工業の動きが十分把握された. なお本年度は分析フレームの構築とデータ整理ならびに現地情報の確認を行っているところであり,次年度において論文に取りまとめる予定であるため,これまで本研究の内容について発表したものはない.
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