昨年度の研究では、我が国のモチ米が、かつての国内全域での全般的生産から、現在は、北海道、新潟県、佐賀県等の主産地での生産へと変化してきたことを解明した。 本年度は、上記モチ米主産地及び主要加工地域(新潟県・首都圏)での現地調査によって、以下の諸点を解明することができた。 生産面では、新食糧法の施行及びモチ米の商品性の高まりを背景に、ウルチ米同様、良質モチ米と低コスト化を追求した生産体制の再編・強化及び商品特性を活かした独自の販路確保等が、これまでになく模索されている実態が形成されている。 流通面では、北海道産モチ米は主として東北や関東に、佐賀県産モチ米は主として関西方面に流通している反面、新潟県産モチ米はほとんどが県内向けである、という特徴を有する。このことは、亀田製菓・佐藤食品に代表される主要な加工業者が新潟県内に加工場を持っているため、大半が加工向けに回る主産地のモチ米のかなりの部分が新潟県に流通して加工されるという加工・流通構造からも確認することができる。 以上が、我が国における「モチ米の生産・加工・流通に関する」基本的構図であるが、しかし同時に、農産物の地域流通が見直される機運の中で、上記の主産地や加工所集積地帯(新潟県や首都圏)以外においても、全国各地で、農民の小グループによって地域的なモチ米の生産・加工・流通が形成されてきている動向を見逃せない。 こうして現在・我が国におけるモチ米の生産・加工・流通・消費は、三大主産地と新潟県を主軸とする全国的展開と、それを補う形での各地域での地域的展開の二つの構図を形成していると理解することができる。
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