本年度は最終年度であるため、これまでの研究を整理し、今後の課題を提起したい。 生産面では、モチ米の主産地は変動過程にあり、これまでは北海道、佐賀県及び新潟県が三大産地であったが、近年は岩手県が生産量では新潟県を上回るに至り、また熊本県の生産量が新潟県に接近してきているという新しい状況が生まれてきており、モチ米主産地地図が徐々に塗り替えられようとしている。 モチ米の二大加工用途は米菓と包装餅であり、その業界は共に新潟県に集中している。うち、米菓は亀田製菓によるガリバー型寡占構造を、包装餅は佐藤食品による同様の構造が形成されている。ただ、包装餅は農家グループや米屋による加工・販売も広範に見られ、直売所の増加等と結びついて、増加傾向にある。こうして、包装餅の市場構造は、いわば二重構造を呈している。 消費面では、食の多様化の中で、米菓はスナック食品に押され、包装餅の消費も減少傾向にある。 また、見過ごせない状況として、1993年米凶作を契機とするモチ粉調整品や米菓の輸入量増加、95年からのミニマムアクセス米の受け入れに伴うモチ米の輸入量の増加によって、モチ米も輸入物との競争が激化し、我が国のモチ米市場はますます激変する時代へと突入している。 したがって、関係機関での新たな対応と同時に、政策的にも、枠組みの新たな再編が求められることとなる。
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