現時点までに、平成7年度の作業の進展状況は以下の通りである。 1)移行期経済における経済改革と環境経済学における最近の内外の研究成果についてサーベイをおこなった。政治上の混乱は続くが、経済政策面では堅実な財政・金融政策を導入している移行経済において、経済発展の回復が見られていることが確認できた。さらに環境面では資源利用の効率性が高まったことと、農業分野においても改善がはかられていることが確認できた。また環境計量モデルの構築に関するレビューがおこなわれた。 2)ワルシャワ経済大学のコバルスキー助教授を通してポーランド農業省農業食料経済研究所が収集した農家サーベイデータを1988年分から1994年分まで入手した。 3)農家の種類別、地域別にデータを入力し、データベースをつくる作業が現在おこなわれている。 4)京都大学に客員教授として滞在しているトムチャック教授(ワルシャワ経済大学)に対するヒアリングをもとに計量分析モデルがつくられ、分析がすすんでいる。 作業がまだ進展している段階であるので、最終的な結論は出せないが、以下の評価が可能である。 1)各種の経済改革とその効果に関しては、経済的な評価が可能なレベルまで研究が進んでいる。環境経済学の理論を使った環境影響評価手法の当研究に対する応用可能性は、データ及び費用の制約があることより限定されたものとなりそうである。 2)農業をとりまく広範な環境関連基礎データが順調に収集されている。ことに農家レベルにおけるデータは貴重であり、独自性のある研究結果が導入できそうである。 3)教育、生産構造、市場へのアクセス等が肥料、農薬の使用量に及ぼす影響について統計分析が進んでいることより政策的含意のある研究結果が導入できそうである。
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