地球規模で進行している土壌の劣悪化「Soil Degradation」を克服するために、土壌の構造的要素(間隙量・間隙組成)の変動が土壌の物理性(容水量・容気量・熱容量)の容量「Capacity」に与える影響を解析し、土壌管理の手法を確立した。 1.土壌が多孔質で塑性を有するために外力による土壌の構造的要素の変動は避けられず、結果としてマクロ間隙のミクロ間隙への変換を通じて排水機能の劣悪化と容気量の著しい減少がもたらされる。しかも、畜産・林産廃棄物のコンポストから成るバ-ク資材(土壌改良資材)を利用した土層改良により土壌の構造的要素の改善・保全が可能である。 2.バ-ク資材(土壌改良資材)を利用した効果的な土層改良工法としては、主根群域を対象とした混層耕(バ-ク資材投入量20ton/10a以上による客土)および根圏域土壌を対象とした有材心破(幅20cm、高さ50cmの矩形断面のバ-ク資材透水ゾーン整備工法)を確立した。 3.農業生産すなわち作物生産の基本は根圏域における効果的な養水分吸収にあり、根圏域の土壌物理的環境整備は不可欠である。とくにバ-ク資材利用有材心破により、根圏域土壌の容水量・容気量の確保が容易になり、さらに水・空気のバランス形成により地温(熱容量)管理が容易になることを明らかにした。 4.本研究の成果は、農業分野における種々の廃棄物を利用した循環型農業の展開ならびに施設農業における化石エネルギー依存体質からの脱却に向けた技術指針となりうる。
|