土のコンシステンシーは粘生土において特徴的に現われる最も基本的な性質の一つとして力学的諸特性との関係が重要視されている。本研究で対象とした土は有明粘土、海水ヘドロ、淡水ヘドロ、マサ土、関東ローム及び泥炭土である。試験は主として、JIS法とフォールコーン法を並行して実施し、又供試土の生土・風乾土の差異についても検討した。先ずJIS法による一斉試験は、初心者10人を対象とし、供試土は有明粘土及びマサ土とした。液性限界については、有明粘土は試験者間の差は小さく、マサ土ではやや大きくなった。一方塑性限界は、有明粘土・マサ土ともに試験者間の差はかなり大きく現われた。やはり塑性限界は試験方法が極めてプリミティブであることが測定者間の差に少なからず影響しているものと判断される。測定法についてはフォールコーン法はJIS法に比べて測定者間の差は小さくなった。泥炭は供試土を2つに分け、一方はニ-ダによる練り返し・線維分の破砕に伴う液性限界の変化を追跡した。他方は、生泥炭を水中篩別し、各粒径間の液性限界の差を比較した。その結果、ニ-ダによる破砕試料はニ-ダの作動時間と破砕度は比例的な関係になく、一定の傾向が現われなかった。一方、水中篩別試料については、粒径425μm以下の試料はJIS法の適用が可能であり、またJIS法で求めた液性限界はフォールコーン法におけるコーン貫入量10mmの含水比より大きく、約13mmのそれに近い結果となった。さらに生土と風乾土との差すなわち試料の乾燥に伴う不可逆性が明らかに認められた。ヘドロについては東京湾2ヶ所(海水)、松江城堀内(淡水へドロ)並びに網走湖(汽水ヘドロ)を供試土としたが液性限界・塑性限界値には塩素イオン濃度、粘土鉱物並びに有機物含有量等が複合的に影響していることが推測される。いずれも乾燥に伴う不可逆性が明らかに現われ、また膨潤度とも少なからず関係していることがわかった。
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