研究概要 |
本研究では,持続可能な傾斜地農業を確立しようとする観点から,土壌侵食形態,耕作様式,道・排水路配置などを調査し,さらに農家の保全作業や営農に対する意向調査を行って,土地利用形態との関係を明らかにするものである。平成7年度には,岐阜県高鷲村上野地区を対象として土地利用形態の詳細な調査を行った。まず,圃場の利用状況及び畝立様式や方向をラジコン航空写真から判読し,現地踏査で補完しなが土地利用形態の実態を明らかにした。さらに現地において土壌侵食痕跡を確認し,流亡土砂の発生源を追跡した。 本年度の調査から土地利用形態と土壌侵食の関係については、次のような新たな知見が得られた。 1.畝立の様式は,ほぼ圃場の全面にわたり,境界に沿って畝を立て,畝間の流末が直接法面等に排水されたり,枕畝で導水されることが多く,流末部が土壌侵食の根源になっている。 2.裸地圃場の侵食状況と対比すると,畝を立てることによって土壌侵食を大きく抑制する効果がある。 3.大半の農家は土壌侵食を抑制するように畝立を工夫しており,圃場の基盤形態に根本的な問題がある。 平成8年度には,実態調査を継続するとともに耕作農家の意向調査等を行い,一連の調査結果をふまえて,持続的な傾斜地農業を継承することができる土地基盤整備や営農面からみた保全対策のあり方にまで言及し,土地利用形態のあるべき姿を提言する予定である。
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