初年度に当たる今年度は、まずダムの流水管理実態を把握するため、行政機関(農林水産省、建設省)の協力を得てアンケート調査を行った。その結果、599ダムからの回答を得ることができた。そのアンケート項目は、(1)一般的事項、(2)水管理体制、(3)水文観測、(4)洪水予測、(5)渇水予測、(6)参考意見に分かれている。50km^2以上の流域面積をもつ201ダムからのアンケートをまとめると、次のようである。なお、まとめに際しては、設置目的に応じて水管理方式も異なると考えられることから、農水省系ダムと建設省系ダムに分けてアンケートを整理した。 1.ダム設置の目的は、農水省系のダムでは農業用水が多いが、建設省系のダムでは洪水防御が多くなっている。 2.洪水予測に当たっては、3時間先までが重要であると答えたものが9割以上を占め、3時間先までの洪水予測が重要なことが分かった。 3.洪水予測に流出モデルを活用しているものは、農水省系ダムでは3割弱に対し、建設省系では過半数を占めており、建設省系のダムでは洪水予測に流出モデルを活用していることが分かった。 4.洪水予測時にフィルタリング手法を用いているのは全体の1割にも満たない現状にある。 5.渇水予測については、ほとんど行われていない現状にある。
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