研究概要 |
1.ため池の老朽度判定のための調査方法に関する検討 ため池は超長期的にみると、周期的に改修が必要になる構造的な特質をもっているため、こうした改修の機会をとらえて、ため池の整備・保全を計画的に図ることが必要である。したがって、ため池の老朽度を予め明らかにするため、本年度は次の研究手順で実施した。(1)調査診断項目の検討では、現況ため池が漏水しているものは、ため池整備・保全構想計画の対象にふさわしくないと判断して除外するよう、ため池整備・保全の評価構造を明らかにした。次いで、調査診断項目を明らかにした。(2)作成した診断調査表に基づき香川県寒川町の230個のため池を現地調査した。(3)調査診断項目のウェイト付けのためAHP法によるアンケート調査を実施した。(4)アンケート調査と現地調査の結果に基づき、ため池老朽度の試算を行った。 2.ため池の類型化手法に関する検討 ため池整備・保全構想策定のためのため池の類型化手法について検討を行った。研究の対象としたため池は香川県下の受益面積2ha以上のため池2,498個中、地図上で確認できなかった11個を除いた2,487個であり、県相当の広域的な地域を対象とした場合に焦点を絞っている。また、本年度は国が公表している公刊データのみを用いている点が特徴である。したがって、同一の手法で国内のどの地域へも適用可能である汎用性を有している。本研究ではため池整備に要求される主要な項目として、(1)貯水機能保全(水源、防災的機能の維持)、(2)水質保全(農業用水、親水資源としての水質保全)、(3)親水整備(親水利用に向けた整備)、(4)環境保全(生態系、景観の保全)の4項目に類型項目を絞り、これらの4項目それぞれについてため池を類型化し、類型結果を提示した。
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