研究概要 |
本研究は、急速に増大する農作業機械の自動化機構を使った時に、運転者にどのような影響を及ぼすかを追求して,ハードウェアと人間の調和及び安全性の確立をしようとする研究であり,初年度の本年は次の成果を上げた。 1,有人・無人トラクタの製作 次年度に発展させる人工知能制御の主体となるトラクタとして4輪操舵4輪駆動の極小型トラクタを設計製作した。当機は12kWのエンジンでHSTを駆動し,出力側を4輪それぞれを駆動する油圧モータにつないで任意の速度が無段に得られ,操舵は車輪毎に1本の電気式シリンダーを装着して,多様な走行軌跡となる運転が可能である。これらには全てトランスデューサを装備して操舵走行制御・出力経過がコンピュータに記録される。本年は有人運転が出来るまで完成した。 2,農作業コントラクタの運転者が受ける振動・騒音被曝に関する調査 機械化農作業で運転者が受ける振動・騒音は、防震対策の改善と短期間作業などのため問題視されなかったが,突如出現した「農作業コントラクタ」では、超高性能作業機にいる超高速度作業が長期間にわたって行われ、厳しい振動・騒音条件による新たな労働問題が顕在化させた。S農協の育成牧場でサイレ-ジ切り込み作業について振動・騒音を計測したところ,いずれも防震を施したキャビン装着車なのに大きな振動を受け、1日の作業時間は許容時間を超え,かつ,この条件で作業期間日数も長くて健康上大きな問題が出ることを突き止めた。これら成果は、本年4月の日本農作業学会春季大会(於:農工大)で「コントラクタ運転者の振動被曝」と題して講演発表をする。 なお,本研究は次年の対象であったが,偶然に協力が得られる機会を得て本年に繰り上げたものである。
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