研究概要 |
本年度の研究実施計画に従って、以下のように本年度の研究結果を総括する。 1.圃場実験による実働負荷の収集とその解析 本学の畑地圃場を供試し,既耕土部から転圧部へと連続的に耕うんし,耕うん軸と車軸のトルクのスペクトル解析を行った。この結果,定常耕うん部分における耕うん軸トルクには,その基本周波数の1〜6次成分の影響が,また,車軸トルクには車輪のラグ数を加味した基本周波数の1次成分の影響が顕著に現れていた。次年度は過渡時のトルク特性について、詳細にデータを解析する予定である。 2.トラクター作業機系の力学モデルとその評価 ロータリ耕うん時のトラクタの力学モデルに,調速機の作用を組み込み,系の過渡特性のシミュレーションを行った。本モデルを用い,外乱としてロータリ軸トルクにステップ関数を入力し機関回転速度の応答を解析した結果,パラメータの値によってはシステムが不安定になる場合が存在することが分かった。次年度は外乱として、周波数成分を含んだ入力を与えて,システムの特性を検討する。 3.ロバスト制御系の設計 本年度は,負荷変動が生発生しても最適な作業速度になるように,H_∞制御理論を用いてロバスト制御系の設計仕様を決定し,H_∞コントローラの設計を行っている。この結果,従来のスロットルと調速機を用いた機関の制御よりは,系の過渡特性や周波数特性を向上できる見通しを得た。次年度はシステム内のパラメータの同定と制御器を製作し,その制御特性を検討する。
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