研究概要 |
前年度までの結果を基にして、本年度は主にロバスト制御系の設計とコントローラの評価を行い、次のような結果を得た。 コントロールパラメータの同定を,エンジン回転数の出力結果からのみ推定していたが,各種の圃場耕うん実験結果にこのパラメータを用いてシミュレーションすると,過渡時におけるエンジン回転数のオーバーシュートが大きくなり,実測値をシミュレーション値の差が大きくなる場合も生じた。これはパラメータの同定時に,エンジン回転速度のみの情報を用いて推定していることによるものと推察された。従って,精度良くコントロールパラメータの推定を行うには,エンジン回転速度の情報と共に出力トルクなど別の情報も同時に参照しながら推定する方法や,種々のコントロールパラメータを個別的に同定する必要があると考えられる。 制御器の試作に関しては,当初スロットルレバ-にアクチュエータを取り付けて制御する予定であったが,既存のガバナシステムとの競合によりハンチングを起こす可能性が生じ,現在アクチュエータの設置方法およびハンチング防止法について継続して検討中である。従って,本年度内に制御器をトラクタに実装できず,圃場での比較耕うん実験はできなかった。今後,早急に制御器を設置できるよう研究を行う予定である。 以上のように,圃場実験による実働負荷の分析,およびトラクター作業機系の力学モデルとその評価についてはほぼ所期の目的が達成されたが,制御系の設計がまだ十分ではなく今後検討を要する結果となった。
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