本研究では、農用トラクタの安全性を向上するために、手足を使用しないマン・マシン・インターフェースとして音声認識システムを構築する。平成7年度は以下のような研究を行った。 (1)トラクタ騒音と人音声の相違をに把握し、有効な音声情報を分別する方法について調査した。その結果、農用トラクタに固有な騒音特性について調べる必要性が指摘された。 (2)上記指摘に基づき、各種トラクタの座席における騒音を記録、保存した。 (3)周波数分析装置を用い、トラクタ騒音の周波数特性について分析した。その結果、定常状態のトラクタ騒音は、低周波成分が大きいが、成分を含有する周波数領域は比較的広いことが分かった。 (4)上記結果をもとに、騒音の中で人音声を含む時間領域を高速に抽出する方法について、スペクトラムの頻度分析が有効であることが分かった。 (5)蓄積した騒音、人音声データをスペクトログラム表示し、特徴の検討を行った。 (6)音声含有部分から音声を分離認識するため、ニューラルネットワークを基本とした音声認識処理装置のソフトウェアを開発した。 (7)現在、上記システムを用いて種々の騒音条件下における音声の分離認識実験を行い、データを蓄積している。
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