研究概要 |
今年度は昨年度において開発した測定システムの一部手直しを行い,実験を実施した。水稲の栽培はプラスチック製のプランターで行った。プランターの外形は長さ800mm,幅300mm,高さ220mmである。これらを横置きに縦に6個並べて1区画とした。このような区画を横2列に並べ,縦1.8m,横1.8mの水田を模倣した実験用圃場をつくった。水稲の植え付け条間は30cm,株間30cmとした。1株当たりの植え付け本数は3本とした。 水稲の生育環境を計測するために使用したセンサーは,温湿度センサー2個,地温センサー2個,雨量センサー1個と光量子センサー1個である。葉色の測定には葉緑素計と画像処理を応用した方法の二とおりを使用した。 今回の実験では追肥として硫安(窒素成分21%)を使用し,与える量,時期を変えて葉色の変化を測定したが,最終的には2つの区画に同量の追肥を行った。しかし葉緑素計による測定の結果,追肥を与える量,時期によって葉色に差が生じることがわかった。また,葉緑素計と画像計測の測定結果はあまり一致していなかった。これは,今回の実験では施肥に対する葉色の反応が小さく,葉色の画像計測システムの測定精度限界に近かったためと考えられる。 本研究では水稲の葉色を追肥によって制御するために,葉色と追肥の量との関係,水稲の生育環境との関係を調べるための実験を行った。実験を実施したのが1年だけであったということもあり,それぞれの間に具体的な関係式などを導き出すまでは至らなかった。 今後もさらに実験を継続してデータを蓄積していく予定である。
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