研究実績は概要の下記の通りである。 1.多点風速計により自然風の鉛直分布の連続測定を行った。また、超音波風速計、温度計及び気圧計を使用して自然風に関する諸量の変動特性を同時測定した。その結果、以下の知見を得た。 (1)平均風速の鉛直分布はほぼ対数分布となった。地表から1〜2mまでは、地表の粗度の影響を受けて乱れ強さは増加するが、地表から離れるにつれ測定した10mまでは風速が増加しても乱れ強さはほぼ一様な分布となった。 (2)鉛直断面における変動風速の横相関関数C(r)は、r=9.5mの場合でも0.6以上の値となり、自然風はかなり大きなスケールであるといえる。 (3)風速、気温、気圧の同時測定から、それら気象に関する諸量には複雑な関係があり、気温が上昇すると水平方向の風速が減風し、気圧が上昇すると気温も上昇する傾向があることがわかった。しかし、これらの関係とそのメカニズムは更に詳細に検討する必要がある。 2.リンゴ果樹の枝のヤング率について、様々な枝の付き方があることから、今回は直接現場で引張り試験を行った。その結果、以下の知見を得た。 (1)枝のヤング率は枝の高さや枝の勾配や枝の太さに関係なくほぼ一定になった。 (2)リンゴ枝のヤング率の平均値はE=3.3×10^7gf/cm_2となり、柿の枝のヤング率と同程度となった。 3.強風によるリンゴの揺れについては、可変翼軸流送風機(φ=1750)を使用して実験を行い、リンゴの揺れを2台のCCDカメラでステレオ撮影した。その結果は下記の通りである。 (1)風速が10m/s、20m/sの時は落果しなかったが、28m/sの時に落果した。落果するときはリンゴ果実が複雑な振動をする。 (2)リンゴが落果するときは左右・上下の振動だけでなく、リンゴ果実に捻れの運動がみられるため、現在、ステレオ撮影した画像から三次元運動を解析できるプログラムを開発している。
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